2010年10月14日

まえがき


文字通り、老若男女が和気あいあい--。

これほど和やかな将棋の集まりはそうはお目に掛かれまい。ここ湘南・藤沢は普及のモデルケースだろう。

2007年から「S将棋サロン」(師範・S九段)にお世話になっている。

S九段は長年将棋道場を営まれ、アマチュアの指導に長けている。気さくな人柄で多くのファンから慕われてきた。

講義は基礎がほとんどだが、知らなかった事柄も少なくない。気分転換のつもりで通い始めたサロンだが、将棋の方も多少は進化を遂げていると思いたい。

ところでここに集う人たちは、棋風も性質も十人十色。対局のみならず、アフターなどの交流も楽しみの一つとなっている。

サロンで指す将棋を、その交遊とともに戦記としてまとめることが、サロンの記録になり、私自身の棋力向上にもつながればと、こうしてペンを執った次第である。

私の将棋は、回りに言わせると、かなり異質で風変わりなようだ。

もともと勝敗には固執せず、「ナンバーワンよりオンリーワン」を標榜している。(勝負の厳しさから逃げているとも)

定跡(人まね)を嫌い、力戦形を好むことはもちろんだが、自分でも使う駒や攻守の性向などに偏りがあるような気がしている。本編を通じ、いささかの個性や創造性が表現されることを願って--。

2010年10月
ピリ辛流
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2010年10月27日

第 一 番 厚みを築く


Iさんは今や女流アマ棋界の強豪。将棋にかける情熱はサロンの中でも随一だろう。

四間飛車党で粘り強さがあり、終盤は勝負勝負と迫ってくる。おそらく気質が男性的で、将棋に向いているのだろう。(以前旅行先で麻雀を打ったときに確信した)

私は玉頭から盛り上がる作戦。△5五歩(1図)に▲3五歩の感触は良かった。数年前の私には浮かばなかっただろう。先に敵陣を乱したが、自信があった訳ではない。

2図は急所の局面。私なら△5七歩でご機嫌を伺うだろうか。本譜△4七とは勝負手。5五の金が取れるが、私は▲5九飛とひよった。(飛車を渡すリスクを嫌った)

対して△5七歩は「おしとやか」過ぎたか。らしくなかった。△5八歩や△3七角ならもう一山あっただろう。以下は私にしては手堅くまとめることができた。
(2010年4月8日)

1図
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2図
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2010年11月03日

第 二 番 穴熊の暴力


Kさんはこのサロンと同じ場所で開かれる子供教室のコーチと務めているとのこと。棋風は基本に忠実。コーチのお役目さながらという印象である。

私の穴熊に、△8五桂あるいは△8五歩~△9五歩のような先攻策もあったろう。指導者の習性で自らちょっかいを出すことをためらわれたのかもしれない。

角交換(1図)からKさんは△3三角。(△6四角もあったか)。私はぼんやりと▲6一角。この後、イメージしていた局面を迎えることになる。

△6五桂(2図)は気持ちの良い跳ね出し。後手快調を思わせる。

ここで金を引く訳にはいくまい。私は角を消してから、エイッと▲6六金。当然の△3九角には▲6五金。この手があるので踏み込んだ。

飛車を取れば▲6四歩から食いつく。△6五同銀なら▲5五角だ。以下は私の気合が通り、堅陣を頼りにリードを広げることができた。

穴熊を指すときには、どこかで穴熊ならではの手を心掛けたい。本局の「穴熊の暴力」もその一つであろう。
(2010年5月13日)

1図
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2図
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2010年11月10日

第 三 番 勝って反省


Yさんは居飛車党で、風貌と同じく手堅い棋風。サロンの中でも長考派で知られる。

一時ははっきり負けの局面もあったが、相手のミスに助けられ、1図で手番が来た。

△7七歩と妖しく迫る。相手に迷ってもらおうとするおまじないの歩である。(△7六桂がまさったか。見えてはいたが)

その後も勝負は四転五転する。

私は苦しい局面が続いていたので開き直っていた。そして、かなり消耗していたようだ。

竜切りの決断(「勘」ともいう)は正しかったようだが、2図で詰みが見えず△6五桂打。

おいおい、△7九金から3手詰ではないか。

先手からは▲7一銀以下、さほど難しくない詰みがある。(もちろん私は知っていた)。しかし盤上は長らく混沌が続いている。実戦は▲9七香。

最後はトン死で勝ち。劇的な、しかしお粗末な終盤戦であった。四段に昇段した直後の将棋、これでは先が思いやられる。
(2010年6月24日)

1図
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2図
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posted by hiro at 12:03| Comment(0) | 自戦記 | 更新情報をチェックする