2011年02月01日

まえがきに代えて


2002年6月、我が家に新しい家族が増えた。

生後間もない茶色の雄のトラ猫である。前の年に引っ越してきたこの団地には野良猫が多く住んでいて、エサやりしていた妻の膝に乗ってきたらしい。気立ての良いハンサム君だ。(親バカとはそういうものなのだ)。

「デーデ」と名づけたこの小さな命を愛でる歌を作りたい--。あるとき、どうせなら「いろは歌」の要領で、とひらめいた。

いろは歌とは、かな文字を重複なく連ねて意味のある歌にしたもの。私はエッセイも書く、詞も作る。俳句が好きで、我流で連句を巻いたこともある。言葉遊びが好きなんですね。

インターネットで色々と調べてみる。すると、出るわ出るわ。自作を誇らしく披露するサイト。四季や時事ネタを詠んだもの、歴史やハウツーの講釈……。マニアというのはどこにもいるんですね。私にも出来るんじゃないかな。

創作初日。単語としてはどうにかつながったものの、全くの意味不明。やはりそんなに甘くはない。

二日目。格闘すること小一時間、どうにか形になったようだ。処女作「よめほ」(最初の三文字)の完成である。

よめほ

夜目星降るに髭明く
起きろと胸を見守りぬ
悪戯声で我誘い
部屋は刹那の遊園地
(2002年)

よめほしふるに ひけあかく
おきろとむねを みまもりぬ
いたすらこえて われさそい
へやはせつなの ゆうえんち

かくして、「古式ゆかしい知的パズル」が、私の新たな趣味として加わった。そのきっかけと、たくさんの幸せをくれた愛息デーデは、昨春、星空のもとへと旅立った。

2011年2月
原田浩光
posted by hiro at 18:47| Comment(0) | いろは歌 | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

初(うぶ)


初(うぶ)な気持ち (夢浅く)
募る浪漫 (闇へ抜け)
笑い声 数え果て
人知れずに 頬を寄せ
眠りたい・・・

(2009年)

うふなきもち ゆめあさく
つのるろまん やみへぬけ
わらいこえ かそえはて
ひとしれすに ほおをよせ
ねむりたい

初48.JPG



ラブソングが作りたかった。

表現したい情景とメッセージを、首尾よく盛り込むことができた。

曲はシンプルの極み。「いろは歌」ゆえの産物かもしれない。

「何かが書かせてくれた」とさえ思えるような、とにかくお気に入りの歌である。
posted by hiro at 11:39| Comment(0) | いろは歌 | 更新情報をチェックする

2011年02月21日

イマジン


やせる頬 望みついえ
よろけても 一人立ち
変わらぬ夢 離さずに
“Imagine(イマジン)”
ふれあう胸へ 声を訊く

(2009年)

やせるほお のそみついえ
よろけても ひとりたち
かわらぬゆめ はなさすに
いましん
ふれあうむねへ こえをきく

イマジン48.JPG



大崎靖史さんは、もう20年近い音楽の友人。「よいしょバンド」「満月」のユニットで音楽活動を続けている。

久しぶりにしたよもやま話の果て、今のこの生きにくい世の中の遠因は、現代人が著しく想像力を欠いてしまったことにある、と結論した。ジョン・レノンは、もう30年近くも前にそのことを言い得ていたのだと。

その日のことを歌(いろは歌)にしたところ、ほどなく素敵な楽曲に仕立ててくれた。

「イマジン」のリフが、心に不思議な余韻を残します。
posted by hiro at 11:09| Comment(0) | いろは歌 | 更新情報をチェックする

2011年02月28日

惜春


夕暮れ穂屋の村朱し
塗り絵セロハン尾根を越え
情けに酔わす円い月
染めた麓へ導いて

(2009年)

ゆうくれ ほやのむらあかし
ぬりえせろはん おねをこえ
なさけによわす まるいつき
そめたふもとへ みちひいて

惜春48.JPG



朱Akashiこと石川朱さんとは仕事で知り合い、以来懇意にしていただいている。

キーボード奏者で作曲も手掛ける。書やイラストにも長けており、いろは歌の相談に真っ先にお伺いした。

その頃石川さんは、今までの作品をまとめたミニアルバム「縁」(123(DoReMi)Records)を作り終えていた。いわく、「『DoReMi』も『いろは』ですよ」

「このアルバムを聴いて一編作ります」「ではそれに曲をつけましょう」

初めて聴くのに懐かしい。そんな「心の原風景」をもとにこの歌を作った。

その後、曲がつくことはなかったが、アルバムの1曲目「惜春」のメロディーに乗せて歌うことを申し入れ、了承を得た。
posted by hiro at 15:58| Comment(0) | いろは歌 | 更新情報をチェックする